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その、透明な鎖を
第17章 遠くへ
「……龍、さん」
思わず呟いた彼に、龍は笑って。
「よかった。声を掛けたはいいものの、ひとりだし、間違ったかなと思ったよ」
ちゃんと当たってたね、と。
そしてさらに続ける。
「悠斗君、本当にオレのことそんなふうに呼んでるんだ」
躊躇いがちにただ軽く、頷いて答える。
「ずっと待ってたんですか?」
「……たまたま、だよ。そろそろかなと思って来ただけ。凛は?」
「あ。電話して……迎え呼ぶって言って、上で」
「そう。じゃあ携帯にかかってくるかな」
その言葉と同時にポケットから携帯を取り出す。
――と。
すぐに着信音が鳴り響いた。
「凛? もう駅に来てるよ。下で悠斗君と一緒に――うん、そう――ははっ、わかったよ」
そして携帯が閉じられ。
彼が悠斗を見る。