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その、透明な鎖を
第18章 すべてを知るために
18時前に、悠斗は凛の家を後にした。
そのまま真っ直ぐ、駅へと向かう。
今日は帰りが遅くなると、既に親には伝えてあった。
彼はただ、黙って駅への道を歩く。
――18時20分。
少し早かったか、と思いながら、彼は駅前に立つ。
上りか下りか――ちょうど電車が通ったばかりらしく、人の行き来もそれなりにあった。
高校生が、やはり多い。
それを見ながら、彼はなんとなく思う。
――凛の父親……いや、保護者か。
その人と、今から彼女についての話をするんだな、俺。
……ある意味これって修羅場?
ふっ、と。
思わず口元が歪む。
薄暗くなりつつある、空を見上げて。
それから目を閉じて、溜め息をひとつついた。