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その、透明な鎖を
第18章 すべてを知るために
やがて車は、町の外れの山道を少し進む。
急に開けたそこは町が一望できる場所だった。
車が停まると、悠斗は外に出て。
その眺めを見下ろす。
「……すごいですね」
真っ暗になったらきっと夜景が綺麗だろう、そう彼は思った。
「時々、ここに来る」
龍が口を開いて。
「眺めていると、不思議と気持ちが落ち着くんだ」
そう言うと、いつの間に用意していたのか、缶コーヒーを悠斗に手渡す。
「ブラックだけど、平気?」
「……ありがとうございます」
悠斗は、それを受け取って。
置かれてあるベンチに、龍が座った。
促され、悠斗も彼から少し距離を置いてそこに座る。
「夜もだいぶ過ごしやすくなってきたね」
はい、と答えようとして。
少し喉が詰まったような感覚に、悠斗は軽く咳払いをした。