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その、透明な鎖を
第18章 すべてを知るために
「え?」
「あの子が知らないこともあるから。そういうのとか?
……まあ、凛の話の補足程度かもしれないけど」
「……補足」
「うん。そう思ってくれれば」
悠斗は、ごくりと喉を鳴らす。
「……そしてその上で決めてくれないか」
「え?」
――何、を。
「これからも凛と付き合いを続けるか。
それとも別れるかを、だよ」
悠斗は、言葉もなく龍を見つめた。
「君の知らないことが、まだあるかもしれない。だったらもうすべて知った上で決めて欲しい。
そして、あの子を受け止める自信がなければ、今のうちに離れてあげてほしいんだ」
「龍、さん……」
――そういうこと、だったのか。
悠斗は、龍の話とはそれだったのかと。
そう、ようやく気づいた。
感謝だけされて終わりなわけではないだろうとは思っていた。
龍が一番言いたいことは、それなのだ。