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その、透明な鎖を
第19章 語られたこと
「……オレはどうして迎えに行かなかったんだろう。そうすればそんな事態を避けられた。いつもただ、気をつけて、なんて言葉を掛けるだけだった。
後悔したよ。ものすごく、悔やんだ。自分が今でも許せない。
その状況を想像すればするほど、桜が受けたショックは精神的にも肉体的にもどれほどのものだったかと苦しくなる――――」
今も、龍は自分を責めている。
18年間、桜を守れなかった自分を責め続けている。
悠斗はそれが、苦しいほど分かった。
「……悠斗君」
不意に、彼に声を掛けられる。
「……オレがあのとき凛を拒めなかったのは、そのときの桜と重ねてしまったからだ」
彼に視線を向けていた悠斗と、それを合わせて龍は言った。
「……え」
突然、凛の名前が出てきて。
悠斗は戸惑いながら、それだけ、声を漏らす。