この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第19章 語られたこと
「龍さん」
頭の中の考えを口にするために、悠斗は彼の名を呼んだ。
「龍さんが、凛を離したくないだけじゃないんですか?」
その言葉に、龍は何も答えない。
「桜さんにそっくりな凛を、身代わりにできなくなるのがいやなだけじゃないんですか?」
龍は、きっとそんな人じゃない――さっきそんなふうに思ったはずなのに。
いま、龍に聞かされた言葉の数々に、そうでもなければそんなこと、と。
凛はそんなことを望んでいないはずだ、と。
とにかくそう思いたくて。
悠斗の感情が揺れ動く。
何が本当で、どれが嘘で。
どれを信じて、何を疑えばいいのか――――。