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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
凛と話し合うとき、自分もその場で聞きたいと、悠斗は龍に願っていた。
迷いながらもそれを承諾してくれた龍に、今日のこの時間に家に来るよう言われて。
そうして、今。
凛の部屋の前で、これから始まるそれをこの自分の耳で聞こうと、悠斗は。
「……凛は、悠斗君と仲良くやってる?」
「え? 何、急に」
「気になってね」
「ついこの前だよ? 旅行に行ったの」
くすくすと、凛の笑い声がした。
悠斗は廊下の壁に凭れるようにしながら、その会話をただ、聞く。
「そうだったね」
「うん」
変な龍、と。
小さな呟きさえもはっきりと聞こえる。