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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「……うん」
彼女の口から、それが聞かれるまでのあいだの緊張。
それはその言葉に一瞬にして解かれ、悠斗が小さく安堵の息を吐いたとき。
「好き」
はっきりとした言葉で、そう龍に告げている彼女の声が聞こえて。
「大好き」
それは再び繰り返されて。
悠斗は胸が苦しくなり、思わず胸元をぎゅっと押さえた。
――凛……俺も凛が好き――……。
今すぐこのドアを開けて、その気持ちを彼女に伝えたいほどにその想いは高まる。
「悠斗君も、凛のことが大好きなんだろうね」
そしてそれを代弁してくれたかのようなタイミングのいいその龍の言葉に、悠斗は苦笑した。