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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「龍のために生きるね、って私、決めたのに。
いつの間にか、悠斗のこと、こんなに」
「凛……」
「でも、その気持ち嘘じゃないから。今もちゃんとそう思ってる……ほんとだよ?」
「……オレのことは気にしなくていい。
凛が幸せなら、オレはそれでいいんだ」
「よくない……よくないよ」
「凛、聞いて?」
「でも」
「いいから、聞いて?」
龍の再度の言葉に、凛は黙り込んで。
そして、彼が口にした言葉は――――。
「凛……オレとの関係はいつやめてもいいんだよ?」
「……え?」
「オレはもう凛に充分救われた。これからは悠斗君のことだけを、考えてあげればいい」
「……龍」
「悠斗君もそれを望んでいるはずだろう? 違う?」
凛は、何も答えない。