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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「凛と、悠斗君。お互いに好き同士なんだ。オレのことはもう気にせず、お互いのことだけを見て、普通の恋人同士のように、そうやって」
「なんで?」
龍の言葉を遮るように発せられた凛の言葉。
「ねえ、なんで?」
「凛……」
「なんで突然そんなこと言うの?」
その、さっきまでとは違う凛の低い声色に、悠斗の心臓の動悸が激しくなっていく。
「凛」
「そんな……そんなの――――!」
がたん、と音がして。
思わずドアの隙間から中を見ると、ベッドに座っていたはずの凛は立ち上がっていて、龍の腕を掴み、彼を見上げるようにしていた。
ベッドの前に置かれていたテーブルが、斜めに角度を変えている。