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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「龍は……私に、龍との関係をやめて、そして悠斗とは付き合い続けろって言うの……!?」
その、彼女の戸惑い。
龍の言っている言葉の意味が、分からないとでも言うかのように。
「ねえ……! 龍がいるから私は悠斗と続けていられるんだよ……!?
龍が私を受け止めてくれてるから、だから悠斗の前では私はただの女の子でいられるの……それ、龍は知ってるでしょう……!?」
「凛――――」
「悠斗の前では出したくないの……! 私の中のぐちゃぐちゃしたもの……そんなの、悠斗にこれ以上見せたくない、ただでさえこんな私を必要としてくれてるのに……これ以上苦しめたくない……! 悠斗の前ではただの私でいたいの――――!」
「凛――……」
「……っ、私のそういうの……龍は分かってくれてるって思ってた……」
彼の腕を掴んだまま、凛は唇を噛んで俯く。
悠斗は、開かれたドアの隙間から、黙ってその様子を見ていた。
自分の前では見せたことのない取り乱した姿で、凛が龍に訴えている光景を。