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その、透明な鎖を
第3章 いいこと
「……そういえば」
そして、彼は何か思い出したかのように口を開く。
「凛って、こっちに越してきて間もないの?」
「え?」
「さっきそんなこと言ってたじゃん」
「ああ……うん」
「いつからこっちに?」
「3~4か月前かな」
「越してくる前も、高校には行ってなかったの?」
「ん?」
そして、ふふっと笑って。
「悠斗、質問ばっかりだね」
彼女は、彼の顔を覗き込むようにして首を傾げた。
「……凛のこと、知りたいから」
「私も知りたいよ? 悠斗のこと」
そのまま、悠斗の手に重ねた自分の手を動かして、下からすくうようにして指と指を絡ませる。
「……凛」
悠斗の口から思わず漏れた呟き。
緊張で、その手の平が汗ばんでくる。