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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「……っ、もしかして」
そして突然。
はっ、と何かに気付いたかのように凛は。
「龍、私のこと、もういらなくなったの……?」
「何言って――――」
「ねえ、怒ったの? 呆れたの?
龍のために生きるって言ったのに、悠斗とこんなふうになったから、だから私のこと」
「違う……!」
「私……私! 龍にそんな思いさせるぐらいなら悠斗と別れるから……龍だけの私に戻るから……!
龍の言葉に甘えててごめんなさい! もうやめる、やめるから……!
だからお願い……私のこと見捨てないで……!」
「何言ってるんだ凛! そんなわけ――――」
「だったら……! だったら、お願いだからそんなこと言わないで! 私との関係をやめるなんて、そんなこと、っ……!」
……凛のそれは、号泣だった。
抱きつくというよりも、もはや縋りついていると言った方が正しい。
涙でぐちゃぐちゃの顔を、龍に向けて。
さっきまでの凛からは考えられないような姿で。