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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
凛の心の闇の深さ。
悠斗は……いや、龍さえもそこまでだとは思っていなかったのであろう。
彼女を抱き留める彼の顔には、微かに動揺が見て取れた。
「悪かった――ごめん……ごめん、凛……!」
何度も、そうやって、凛に。
「もう言わない、二度とこんなこと言わないから――――」
たまらなさそうに彼女を強く抱き寄せ、その頭に顔を埋めて伝える。
凛の幸せだけを願う彼にとって、彼女のその慟哭を目の当たりにすることは、どんなにつらいことだろうか。
「ずっと凛のそばにいるから」
「……っ……」
「今も、凛はオレのすべてだよ」
「龍……っ……!」
彼の言葉に、彼女はさらに声を上げて泣いた。