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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
悠斗はそれを見て、聞いて。
まるでその感情に引きずられたかのように、涙を零す。
――凛……。
心の中で彼女の名を呼んだ。
――きっと今、凛の頭の中には俺の存在なんかない。
認めたくなくて。
でも、認めないわけにはいかなくて。
――俺の、独りよがりだったんだ。
龍の代わりに凛を支えたい。
凛を必要としている自分の気持ちがあれば、それができると。凛を救えると思っていた。
――そんな考え、甘かった。
そんな簡単なことじゃなかったんだ。
なのに、自分だけのものになってほしいと、自分の感情を優先して。
凛の気持ちも考えずに。
勝手な想像で動いて。
龍をも巻き込んで。
……そうして、結果的に凛をこんなふうに苦しませてしまった。