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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
龍の身体に手をついて。
ぎしぎしとベッドを鳴らしながら、彼の上で身体を揺らす凛。
その目は閉じられ、半開きの口からは絶えず漏れる声。
長い黒髪が、身体の動きに合わせてさらさらと揺れる。
「あ、あっ……あ、んっ……っあ」
思わず、悠斗はそこから目を逸らした。
下を向いて小さく息を吐く。
いつも見ている彼女のあの顔。
いつも聞いている彼女のあの声。
……なのに、それを自分はなぜかこうして遠くから見て、そして聞いている。
「……りゅ、う……あっ……」
そう、自分じゃない人の名前を。
――凛、凛……っ……。
それなのに、そこを立ち去ることができない。
まるで自分の心をわざと痛めつけるかのように、その声を悠斗はただ聞き続ける。