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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「あ、ふ……う、うう……っ」
突然、その声色が変わった。
悠斗は思わず顔をそこへと戻す。
「ひ……く、うう……あ……っ」
凛が、その右腕を自分の目元へと当てている。
動きも、緩慢なものへと変わっていて。
時折思い出したかのように動く程度になっていて。
「……っ、凛……?」
龍も、異変に気付いて。
「うう……っ、あ、ああ……!」
それは、次第に完全な泣き声へとなる。
もはや身体の動きもなく。
龍と繋がったままのその体勢で、凛は激しく声を上げ始めた。
「……っ、うう、りゅ、う……!」
そう、彼の名を呼んで。
「おねが、いっ……! 龍、ずっと私の……私とっ、おねがい……っ……!」
顔を、覆って。
「いや……やだ、龍、やだよお……っ! お願いだから……っ!」
まるで、小さな子供のように。
わあっと、凛は。