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その、透明な鎖を
第20章  答えなど、はじめから


「私を見捨てないで……っ……!」

「……凛!」


身体を起こし、彼女の身体を龍は抱き締めた。
宥めるようにその頭を、背中を何度もなでて。


「大丈夫……大丈夫だから」


泣き続ける彼女の耳元で、囁く。


「どこにも行かない。ずっと凛と一緒にいるよ」

「……っ! 龍……っ!!」


そのまま凛は彼に抱きついて。
……しばらく、ふたりはそのままで。


悠斗はただ、黙ってふたりを見つめて。
それから、そのとても入り込めやしない雰囲気に気圧されたかのように、そっと目を伏せて2、3歩、後ずさった。
部屋の中の様子が……見えなくなる。

震える息を、小さく吐いた。


――終わった。


龍とふたりで話をしたときに感じた、一種の疎外感。
現実として、突きつけられてしまった。
最初から、自分は部外者だった。


――ただ、凛の気持ちを知りたかっただけなのに。


本当は期待もしていた。
凛は自分を選んでくれるんじゃないかと。

けれども、それは。


悠斗は、ぎりっと唇を噛んだ。



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