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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「あんな凛、初めて見ました」
はあ……と、たまらず息を吐いた。
「……あんなふうに、凛は龍さんの前で泣くんだ」
「悠斗君……」
「あんなふうに、龍さんには感情をぶつけて」
はは……と。
顔が勝手に笑って。
「……俺、そんな凛、見たことない。最初から、一線、引かれてた。なのに、調子にのって。龍さんの代わりに凛を支えたいとか、俺、何言って……」
突然、涙が零れる。
それは、悠斗の感情が戻りつつある証拠でもあった。
「俺、何ひとりで勝手に盛り上がって……」
ぐいっ、と。
彼は腕で目元を拭い。
「……っ、すいません」
そうして、もう一度大きく息を吐いた。