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その、透明な鎖を
第21章 普通って

「それは違うよ、悠斗君」
悠斗の言葉を黙って聞いていた龍が口を開いた。
「凛の気持ち、間違えないであげてほしい」
「……え……?」
「君を信頼していないとか、君には本音が言えないとか……そういうことじゃないよ」
悠斗を見つめながら、諭すような口調で。
「凛は本当にただ、君の前では普通の女の子でいたかったんだと思う。だって君も何度も凛に言ってくれたんだろう?」
「え……」
「『凛は普通の女の子だよ』って」
「……だって、だって凛は本当に――――」
「うん。だから」
龍は、一呼吸置いて。
「……だから、よけいに凛は。そう思ってくれる君の前では、そうありたかった……ということじゃないかな」
それから、そう続けた。
悠斗は、彼のその言葉に、思わず呟く。

