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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「凛とこうなったとき。オレも確かに思ったよ。こんなのはいけない。こんな関係普通じゃない――――」
そして、ふっ、と笑うように。
「でもね。そんなこと、だんだんどうでもよくなっていったよ。
普通じゃなくても、オレたちはこうやってこの関係で実際気持ちが救われて。だったらもう、それがオレたちにとっての普通なんだって、そう気付いた」
迷いのない、その目。
「誰かの決めた普通なんて、意味がない。
普通か、そうでないかなんて。オレたちが自分で決めることだ」
悠斗は、黙ったまま龍を見つめて。
龍も、その視線を静かに受け止める。
「悠斗君」
名前を呼ばれ、ゆっくりと続けられたその言葉。
「君にとっての普通って、何――――?」