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その、透明な鎖を
第21章 普通って
どくん……と、悠斗の心臓が波打つ。
振り向けない。
そこに凛がいるのが分かるのに。
「……何で……?」
背後から聞こえる彼女の声。
「何で悠斗がここにいるの……?」
呟きのような微かな声。
悠斗は黙ったまま、俯いて。
激しくなっている心臓の鼓動を押さえるかのように、シャツの胸元をぎゅっと握った。
「……何でふたりが一緒にいるの……ねえ、全然わかんないんだけど……」
悠斗は深く息を吐き。
それからゆっくりと振り返った。
開かれたドアの向こう側に、凛が立っていて、その大きな瞳を不安そうに揺らしながら、目の前にいるふたりを交互に見ていた。
振り返った悠斗と視線を合わせ。
彼のその表情から何か察したのか、彼女は、はっと息を飲む。
「まさか」
そしてその、言葉を。