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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「見てたの……?」
悠斗はたまらず視線を逸らす。
凛はそれで確信したのか、焦りを滲ませた声で。
「え……いつから……いつから見てたの……!?」
「凛。オレが説明する」
龍が立ち上がり、口を挟んだ。
そして悠斗を見て。
「悠斗君。今日はもう帰りなさい」
そう言う。
「え……」
凛が、戸惑ったように声を漏らす。
「……はい」
龍の言葉に答えて、悠斗は彼に頭を下げた。
そしてそのまま歩き出す。
立ち尽くしている凛の脇をすっと通り抜けるようにして。
「悠斗……!」
背後に凛の声が響いた。
悠斗は、玄関へと進み、靴を履いた。