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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「待って、悠斗!」
彼のそばに駆け寄ろうとした凛の腕は、龍に捕らえられる。
「離して、龍!」
捕まれたその腕を彼の手から離そうとするが、龍はそれを許さない。
「やだ、悠斗……っ!」
立ち去ろうとする彼の背中へと掛けられる、凛のその焦ったような声。
「凛!」
龍が凛を諫めた。
「……っ、でも、でも――!」
「決めるのは悠斗君だ」
悠斗は、そこに立ったまま。
でも……! と何度も呟く彼女の声と。
それを制する龍の声が繰り返されるのを、黙ったまま聞いて。
……次第に、泣き声へと変わっていく彼女の声を、唇を噛みながら、聞いて。