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その、透明な鎖を
第21章 普通って
――どれくらい、時が経ったのか。
「……っ、悠斗……」
やがて、微かな呟きに似た凛の声が。
「ごめん、ね……」
その言葉に、悠斗は思わず自分の手をぎゅっと握り締める。
「巻き込んで……ごめんなさい……でも、でも私ほんとに――――!」
泣き声で、続けられた言葉。
「――――っ!」
悠斗はもうたまらず、玄関を出た。
後ろを……凛の方を振り返らず、そのまま足を進める。
それは次第に早足になっていく。
……いつのまにか、走り出していた。
はあっ、はあっ……と。
聞こえるのは自分の荒い息だけ。
苦しくて、足を止めたくて。
それでも、止められなくて。
大声で叫び出したい気持ちを必死で押さえ込みながら、暗い道をただ、ひたすら。