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その、透明な鎖を
第22章 夏の名残
金曜の部活。
友達との話に、いつも以上に夢中になろうとして、反対に心配された。
土日のバイト。
忙しかったのが幸いだった。
何も考えず、ただ手足を動かして、頭に叩き込んだ言葉を口にし続ける。
心地よい疲れは、あれからよく眠れていなかった自分の身体を、深い闇へと誘ってくれた。
月曜日。
あの日からもう、5日。
『決めるのは悠斗君だよ』
龍が凛に言っていたその言葉を、よく思い出すようになって。
考えようとはしていた。
けれど一方へと傾いていく自分の考えは、すぐにまたもう一方へと揺れ動く。
かと思えば、逆へと再び。
そんな状態ばかりが続いて、結局身動きが取れなくなってしまう自分に、ただ溜め息をついた。
この日も、凛に会いには行けなくて。
悠斗は家でひとり、また考える。