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その、透明な鎖を
第22章 夏の名残
火曜日。
……凛と会えないまま、二週間が過ぎていた。
もうこんなに彼女に会ってないなんて、と悠斗は溜め息をつく。
この先いつ会えるのかも。
いや。また会えるのかさえわからないままの状態は、とても苦しくて。
たまらず大きく息を吐いて、彼は空を見上げた。
真っ青な、その空。
どこか、夏の名残を感じさせるような秋晴れ。
「凛……」
その名前を呟くだけで、胸が痛い。
凛でいっぱいだった、夏。
凛しか、そこには存在していなかったと言えるほど、悠斗にとっては濃密すぎたその季節。