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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
「……苦しいよ、悠斗、っ」
はあっ、と。
腕の中の彼女が息を吐く。
「凛……俺、もう凛に会えないのかと思って……俺……っ」
会えなかった間の感情をぶつけるかのように、悠斗は凛を抱く腕にさらに力を込める。
「……っ、ゆう、と」
凛は、苦しそうにしながらも、彼の身体を押し返したりはしなかった。
彼の激情がおさまるまで、その身体に自らも腕を回して、きゅっ……と抱き締めるように。
――ああ、だめだ。
悠斗は、溢れ出る凛への想いに溺れそうになりながら、思った。
自分は、凛から離れるなんてそんなことはできない、と。
――理屈じゃない。
理屈じゃないんだ――……。