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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
彼の身体から手を離し、そのまま数歩。
悠斗を見たまま、凛は後ずさるようにして 。
すっ……と。
彼に向かって伸ばされた手。
悠斗は黙ってそれを見つめる。
「……行こ?」
凛は、そう言って。
あのいつもの仕草で誘う。
その、白く滑らかな彼女の手。
彼に向かって伸ばされているその指先。
悠斗は、その手を取る。
まるで、鎖に指を絡ませるかのような、そんな動きで彼女の指をすくい上げる。
「……ふ」
絡まり合っている指を見ながら思わず悠斗が漏らした笑みに、凛が不思議そうに彼の顔を覗き込む。
「なに?」
悠斗は笑ったまま、首を振る。
「……変な悠斗」
凛も、つられたように笑って。
そうして、彼の手を引くように、自分の家の方向へと歩き出す。