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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
覚悟を決めた悠斗の心の中は、今までの荒れ狂う様はまるで何だったのだろうと思えるかのように凪いでいた。
「あ」
そうして、思い出す。
「凛、俺、巻き込まれたなんて思ってないから」
「え?」
「この前、凛言ってたじゃん。『巻き込んでごめんね』って。
俺がそれを選んだんだよ。だからそんなふうに思うのは、なし」
ね? と。
彼女の顔を覗き込んで彼は言った。
「……ん」
凛も、視線を合わせて。
そう頷いた。
「そのときも。今だって。俺が全部、自分で選んだ。だから凛が、それに関して責任を感じたりとかしなくていいんだ」
黙ったままそれを聞いていた凛は、少ししてから、ようやく頷いて。
「……ありがと、悠斗」
そう言って、笑顔を彼へと向けた。