この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
「でもひとつだけ、約束して」
「約束?」
「うん」
「何?」
彼女の促しに、彼は足を止める。
必然的に、彼女もそうなって。
「……俺に黙って、もうどっか行ったりしないで」
「悠斗――――」
彼は、絡めたその指に、ぎゅっと力を込めながら。
「凛が、いなくなったと思って、俺……ほんとに焦って。どうしたらいいかわかんなくなった。
このまま二度と会えなくなったら、って。こわくて。苦しくて。
もうあんな思い、二度としたくないんだ。だから――――」
「わかった」
絡めた手に、もう片方の手を、彼女は重ねて。
それを口元まで持っていきながら、彼の言葉に被せるようにして。