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その、透明な鎖を
第1章 そこにいたのは
「君も入ったら?」
そう声を掛けられて。
「は?」
――何で俺が。
「遠慮しとくよ」
「……そう。気持ちいいのにな」
5月末の今日は確かに気温が高く、暑くさえ感じられる日だった。
水に入るのはさぞ気持ちがいいだろう。
――でも。
「……急いでるんだ。じゃ」
携帯で時間を確認すると、バイトの時間が迫ってきていて。
彼女にそう声をかけ、歩きだそうとしたそのとき――――。
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