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その、透明な鎖を
第1章 そこにいたのは
「ねえ」
凛が悠斗を呼び止めた。
「明日も来る?」
「は?」
「悠斗って明日もここ通るの?」
「……早速呼び捨てかよ」
「だめ?」
「いや――別にだめじゃないけど」
彼女のペースに巻き込まれそうになる。
「明日はここは通らないよ」
「どうして?」
「どうしてって……」
この道はバイトがあるときしか通らない。
「……来てよ」
「は?」
にっこり笑って。
「明日も来てよ、悠斗」
――まるで、その顔を見せればみんな言うことを聞いてくれるとでも思っていそうな、そんな印象さえ受けるほど可愛い笑顔を見せて。
そのまま従うのが、悠斗はなんだかくやしくて。
「……あさってならここ通るけど」
下を向いて、それだけを言った。
「あさって?」
「ん」
「そっか……じゃあ待ってていい? この時間だよね」
凛はそう言って返事も聞かず、ばいばい、と悠斗に手を振り……また水遊びに夢中になる。
――可愛いけど、なんだか変な女。
そんなふうに思いながら、悠斗はその場を後にした。
それが、ふたりの出逢いだった――――。