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その、透明な鎖を
第1章 そこにいたのは
その日の夜、バイトを終えて帰ってきた悠斗は、部屋に入るなりベッドに身体を投げ出す。
「……あんな子、初めて見たな」
そう、頭が彼女のことを勝手に考え出して。
「あの制服、ここらじゃ見たことないけど。どこの高校なんだろう」
女子の制服なんて、悠斗はよくわからなくて。
「……はあ」
目を閉じて、溜め息をつく。
明日、会えないと言った。
それを後悔してしまっていることに、正直自分でも驚いて。
――よくわからない。
わからないけど、なぜか気になるんだ。
彼女のことが。
名前を聞いて。聞かれて。
ただのそんな会話だったのに。
『明日も来てよ』
――彼女の言葉が。
「……っ、何だよこれ」
彼は目を閉じて、腕で目を覆った。
『来てよ、悠斗』
――彼女の声が、耳から離れない。