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その、透明な鎖を
第4章 その季節が訪れるまで
手を繋いで。
ふたりはいつもの場所で戯れ合う。
不意に彼に抱きつく彼女。
抱きしめ返そうとする彼の腕から、するりと抜け出して。
でもその腕を掴まれて、結局彼の身体に引き寄せられて。
抱き合って、笑い合って。
そんな、誰が見ても恋人同士にしか見えない悠斗と凛。
「夏休み、デートとかいっぱいしよう?」
悠斗の言葉。
「うん」
それに凛は笑って頷いて。
「話も」
それにも、頷いて。
少し背伸びをしながら、彼と唇を合わせる。
「こういうのも、ね?」
それを離すと、誘うような目つきで彼を見てそっと囁いて。
「……ったく。我慢してんのに」
そんな彼の溜め息を、くすくすと笑う。
「笑うな」
彼は拗ねたような態度で。
急に彼女の手を引いて、歩き出す。
彼女もそれを待っていたかのように、おとなしく従って。