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その、透明な鎖を
第4章 その季節が訪れるまで
凛の、家。
明かりがついている。
家同士が隣接しているわけではないその場所。
夜の闇に紛れながら彼女を呼び出すのは、比較的楽そうだと彼は思った。
彼女の部屋は、確か玄関から入って、右に曲がったつきあたり。
記憶を頼りにその部屋らしき場所に外から回り込もうとした、そのとき――――。
――え?
いま。
何か、聞こえた。
「……何?」
微かに。
悲鳴のような、声が。
どこから?
「あ」
また、聞こえた。
どうやら家の中からだ。
――まさか、何かあった?