この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第4章 その季節が訪れるまで
悠斗は少し不安を覚えながら、それでもその声の正体を知ろうと家に近づいた。
室内の暑さを逃がすためか、微かに開いているその窓を見つける。
さっき聞こえた声も、ここから漏れてきたものなのだろう。
そっと近づいた彼の耳に聞こえてきたそれ――――。
「えっ」
一瞬にして、悠斗は悟った。
「まじかよ……」
思わず、そんな呟きが口をついて出て。
それは、悲鳴ではなかった。
悲鳴のように聞こえただけで。
まさか、と。
悠斗の頭の中に一瞬、凛が浮かんだ。
窓からは、姿は見えない。
あくまでも声が聞こえるだけで。
「凛……」
心臓が早鐘を打つ。
――これは、凛の声……?