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その、透明な鎖を
第4章  その季節が訪れるまで


悠斗は少し不安を覚えながら、それでもその声の正体を知ろうと家に近づいた。

室内の暑さを逃がすためか、微かに開いているその窓を見つける。
さっき聞こえた声も、ここから漏れてきたものなのだろう。

そっと近づいた彼の耳に聞こえてきたそれ――――。


「えっ」


一瞬にして、悠斗は悟った。


「まじかよ……」


思わず、そんな呟きが口をついて出て。


それは、悲鳴ではなかった。
悲鳴のように聞こえただけで。


まさか、と。
悠斗の頭の中に一瞬、凛が浮かんだ。


窓からは、姿は見えない。
あくまでも声が聞こえるだけで。


「凛……」


心臓が早鐘を打つ。



――これは、凛の声……?



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