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その、透明な鎖を
第4章  その季節が訪れるまで


不安が、悠斗を襲う。

今まで聞いたことのない、その艶めかしい喘ぎ。
泣き声のようにも聞こえる。


……じっとりと、いやな汗が滲み出てきた。



「あ」



しかし次の瞬間のその言葉を、悠斗は聞き漏らさなかった。


『さくら』と。
荒い息の合間に低く響く男の声――――。


悠斗は大きく息を吐く。


「っ、焦った……」


おそらく、凛の親なのだろう。
彼女は一人っ子だと聞いている。
兄弟がいないなら、考えられるのは親しかない。


「……にしても、こんな時間に」


苦笑する。


――凛の親って仲いいんだな。
そういえばこの前、親の避妊具を持ってきたって言ってたっけ……。
そしてきっと凛はいないんだ。
いたら、さすがにこんなに堂々と家の中でしないだろう。


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