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『ヒロキ』
第3章 共同生活の始まり
着替えを終えて部屋へ行くと、ヒロキがこちらに軽く微笑み、視線をテレビ画面に戻した。
落ち着かないアタシの視界に、ヒロキが今日買ってきたらしい買い物袋と旅行用のスーツケースが飛び込んでくる。
「このスーツケースは…?」
「ああ、それ?…実は今日、買い出し前にさ、リョウタん家に行ってこっそり荷物持ってきたんだよね。アイツが留守になる時間帯狙ってさ。まだ合い鍵持ってたし(笑)つーか、これが今のオレの全財産だしね(笑)」
「そうだったんだ…。」
(それにしても、昨日の今日でよく行けたよね…。もし見つかってたらまたアタシまで巻き込まれてたかも…。)
いくら必要な物とはいえ、あんな事の後に行くのはかなり無謀に思えたから、ヒロキの行動には少し驚かされた。
とにかく二次被害にならなくて良かった。