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第12章 ただいま

それを振り払って、私はじっとヒールダートを見つめた。

「あんた、私の何？ 夫でもない。婚約者でもない。ただの誘拐犯でしょ。私に命令出来る立場なの？」

少し怒りが込められていたかもしれない。
ヒールダートは目を見開いて固まっていた。

「邪魔しないで」

靴音を響かせてその場を後にする。
ヒールダートは追ってこなかった。