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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
葛木は少し逡巡を見せ、言葉を継いだ。
「さりながら、私はいつでも姫さまのお心にお従い致す所存にございます。姫さまがいかにしても長尾のお殿さまにお心が動かれぬと仰せなら、それも致し方なしと思うておりまする。とは申せ、このお城におられる限り、殿とお褥を共になさらぬ、というのは難しいのではございますまいか。いっそのこと、月山にお帰りになられますか?」
「それは無理な話であろう。私が月山に勝手に戻れば、邦昭公は烈火のごとくお怒りになり、月山と永尾の両国で戦が起こるは必定」
「さりながら、私はいつでも姫さまのお心にお従い致す所存にございます。姫さまがいかにしても長尾のお殿さまにお心が動かれぬと仰せなら、それも致し方なしと思うておりまする。とは申せ、このお城におられる限り、殿とお褥を共になさらぬ、というのは難しいのではございますまいか。いっそのこと、月山にお帰りになられますか?」
「それは無理な話であろう。私が月山に勝手に戻れば、邦昭公は烈火のごとくお怒りになり、月山と永尾の両国で戦が起こるは必定」