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限界Lovers
第15章 濡夜
みなみを送り届けて広間に行くと会社のメンバーはほぼ出来上がっていた。
「山下!遅い!!」
同期の高橋は温泉に入りすぎて艶々している。
高橋が隣の座布団をドンドン叩くからそこに座って手付かずの食事を食べ始めた。
「山下くんお酒は?」
目の前の先輩がビール瓶を傾けて注いでくれる気満々でいる。
「あ、今日は…」
「飲まないの!?せっかくの旅行なのに!?」
「…じゃあ一杯だけ」
あまりに注ぐ気満々だから断りきれず、先輩からビールをもらいとりあえず口をつける。
…ここで酔ってしまったら夜に響く。
それだけは…それだけは避けなくてはならない。
好都合にも周りはもう酔っぱらいばかりだから俺を気にかけるような人は…
「山下ー!全っ然飲んでねーよ!」
隣にいた。
「山下は…彼女とどうやって知り合ったんだよ?」
「何だよ突然」
「……恋バナがしたいんだよ」
「………」
キモチワリー…
高橋は今日「運命の女神」に出会ったそうで頭に花が咲いてしまった。
「なあ、どうやって“みなみちゃん”と出会ったんだよ!」
みなみのことは余りベラベラ話したくないから黙っていたけど、あまりにしつこいから仕方なく教えてやる。
「彼女のバイト先に俺が行ったのが切っ掛けだよ」
「何のバイト?飲み屋?」
「雑貨屋!」
「へー…で?もちろんお前からアプローチしたんだろ?」
「…まーな」
「どれくらい付き合うまでかかった?」
「女子かお前は!」
「いいだろー?参考にだよ参考に」
何の参考だと思いながら当時のことを思い出した。
「…半年くらいかな」
「随分慎重だな」
「どうしても付き合いたきゃ慎重にもなるだろ!」
……思わず力が入ってしまった。
みなみは何もかもが例外だった。
タイプとしても気持ち的にも今までとは違ったから慎重にならざるを得なかったところもあった。
「あー…でも分かるわ」
高橋はウットリと自分の世界に酔っている。
俺と高橋がそんな話をしてると目の前の先輩が食いついた。
「ねえねえ、山下くんの彼女見たい!」
「見せませんよ」
「えーっ、何でよ」
「減るからです」
高橋と先輩はブーブー文句を言っている。