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限界Lovers
第16章 鈴木将太の憂鬱2
みなみちゃんの彼氏は僕を見て驚いた顔をした。


「奇遇ですね」


「…ですね」


この人とは大して話すこともない。
だからほんの一言会話を交わし僕たちは別れる。



ーーーーーーが、



彼氏の首筋にもキスマーク…


しかもみなみちゃんとお揃い…


これって!!?



慌ててみなみちゃんを見るとみなみちゃんは僕を通り越して彼氏を見つける。


彼氏もみなみちゃんに気づくと二人は控えめに手を振り合い互いの連れとまた話し出す。



みなみちゃん…
幼馴染みとの旅行じゃ…



瞬時に灰になる僕。


燃え尽きた…燃え尽きたぜ…



「…アハハハハ」


面白くなんかないのに笑いか止まらない。



仕方ないから笑ったままバイキングのウインナーに手を伸ばしたら隣から逞しい手がトングをかっさらい…



「失礼」


「!!!!」



隣の変態パンツーーーーーっ!!!



変態パンツはウインナーをてんこ盛りにして去って行った。



「やだー、ママ取りすぎよ 」


「ウインナーなんて見たら取らずにいられないじゃない!ただでさえ夕べ取り損ねたんだからねっ!」


訳の分からない会話をしながら…





僕の前にはすっからかんになったウインナーの皿。



「…アハハハハハハ」




ーーーーーー母ちゃん、都会さ怖えべな。



東京さ出てきて三年、僕は…僕は…



僕は大人になってしまつてだんだな。



「鈴っちー!ミルクいっぱい出したから補給するかー!?」


遠くから高梨くんが意味不明な事を叫んでる。


みなみちゃんのキスマーク、彼氏のキスマーク…



それからてんこ盛りのウインナーを嬉しそうに食す変態パンツ…



「アハハ…ハ…ううっ…」


冷静に考えたら涙が出てきた。



田舎に帰りたい…



「おーい鈴っちどうした!?ウインナーがないのがそんなにショックなのか!?」


「鈴木くん、そんなにウインナーが好きだったなんて…私のウインナーあげるよ」


「俺もやるぞ!」


「菜々もあげるからね」



友人たちに囲まれて僕は泣いた。
半分以上彼らのせいだけどその優しさが少しだけ嬉しかった。



そして僕は…


その日を境に無類のウインナー好きとして「ウインナー鈴木」と呼ばれることになった…








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