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限界Lovers
第17章 看病しましょ
「はい、…うん、お兄ちゃん?」
翌日、兄から電話が来た。
「えーっ…花恋水疱瘡になっちゃったの!?」
その用件とは姪っ子が水疱瘡になってしまい週末は帰れなくなったという連絡だった。
「うん…うん…残念だけど仕方ないよ…ねえ、花恋に代われる?代わって?」
電話の向こうで兄が姪っ子に『みなみから電話だよ』と言っているのが聞こえる。
『“もしもし”って言うんだよ、“もしもーし”』と真剣な声に人って変わるんだなと我が兄ながら微笑ましい。
『…もしもーし』
「…花恋!?みなみだよ!?分かる?」
姪っ子は分かってるんだか分かってないんだか、微妙なニュアンスで頷いた。
「花恋水疱瘡になっちゃったの?可哀想に…痒くても掻いちゃダメだからね、次ばあばのお家に来たらおもちゃいっぱい買ってあげるからね!」
「おもちゃ…」
そこだけに反応する姪っ子。
子供にしてはハスキーな声も私にとっては天使の美声だ。
「花恋、“みーたん”って言って?」
『………』
「“みーたん”だよ“みーたん”」
期待でいっぱいの私。
会話が聞こえてるのか兄が一生懸命言わせようとしてるのが分かる。
『…………みーたん』
「!!!!」
キュン死!
「花恋!もう一回“みーたん”」
『………みーたん』
「!!、もう一回…もう一回!」
『………』
さすがに三度目は言ってもらえなかった。
それでも姪っ子の可愛さに叔母バカ全開の私はメロメロだ。
年末年始は奥さんの実家に行くから次はいつ来れるかわからないとか、かなり寂しい話を聞かされ兄とは電話を切った。
「相変わらず叔母バカだな」
呆れた声で遥斗が私を見ていて、少しだけムッとする。
「いーの、可愛いんだから」
「へえ…」
そしてまた勉強を始める切り替えの早さにちょっぴりちょっかいが出したくなった。
「まだ風邪治りきってないのに勉強なんかしていいの?」
「いいの」
遥斗の隣に座って横顔をじっと見る。
「何?」
「べーつにー」
そしてまた見る。ひたすら見る。
「…何だよ」
「なんでもないよ」
それでもまた見ていると…
「…みなみ」
だいぶ視線がうるさいのか、やっと遥斗が手を止めた。