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みんな同じ空の下
第3章 男を装う女
タセム・ノラ。元は軍部に所属していた武官であったが、自ら志願して軍部の下部組織である警備局に移ったと聞く人物だ。警備局では第一警邏長兼副監理官を務めており、ハクトの補佐役である。
「ああ、キオ。帰っていたんだね。ナミキにはもう会ったのかい」
若手が多い警備局の中でも、タセムは三十七歳と年長であり、落ち着いた話し方をする。
彼もまた、立場上リノが女であることも知っている数少ない人間のひとりであった。
「いえ。監理官への報告が終わったので、今から参ります」
敬礼をしたリノが退室すると、タセムの顔からそれまでの柔和さが消えた。
「…また咬龍団にしてやられましたね。どうするおつもりですか?」
言葉は丁寧だが、その口調は表情と同じく厳しいものであった。
「ああ、キオ。帰っていたんだね。ナミキにはもう会ったのかい」
若手が多い警備局の中でも、タセムは三十七歳と年長であり、落ち着いた話し方をする。
彼もまた、立場上リノが女であることも知っている数少ない人間のひとりであった。
「いえ。監理官への報告が終わったので、今から参ります」
敬礼をしたリノが退室すると、タセムの顔からそれまでの柔和さが消えた。
「…また咬龍団にしてやられましたね。どうするおつもりですか?」
言葉は丁寧だが、その口調は表情と同じく厳しいものであった。