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みんな同じ空の下
第32章 願い事

*
レンカがまだ幼い頃、疫病が故郷の村を襲った。
病が広がる速さは凄まじく、村人達は次々と倒れていった。
村には薬師がおらず、病に倒れたレンカの両親はまともな治療も受けられずに亡くなった。
そんな中、役人達は薬師を派遣することもなく、我先にと早々に村から逃げ出した。
ようやく疫病が終息する頃には、村人が半分にまで減少していた。
薬師さえいてくれたら。
役人が派遣の手配をしてくれていたら。
幼いレンカは悔しさと怒りを腹に抱えて村を出ると、町の薬師に師事した。

