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第6章 少女が「女」を捨てた日 ～其の壱：十年前～

「こっ、これはハクト様っ。いつこちらへお着きにっ…、あ、お迎えは…っ」
先ほどまでリノに下品に笑いかけていた役人の声が上擦っている。
「ああ、そのようなことは気にするな。それより、これは一体どうしたことだ。見れば幼い子供を大人が寄ってたかって虐めているように見えるのだが？」
リノよりいくらか年上だがまだ幼さの残るハクトに、役人が「いえいえ」と笑う。