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みんな同じ空の下
第6章 少女が「女」を捨てた日 ~其の壱:十年前~
村とは違う華やかな賑わいの様子にリノの目が奪われた。
「きれい…」
ここに来るまで何にも興味を示さなかったリノが好奇心を持って辺りをきょろきょろと見回している子供らしい姿に、ハクトは微笑んだ。
「王都は初めてか、リノ」
「あ…、…はい…」
ハクトが話しかけると返事はするが、リノに笑顔はなかった。
会話もそれ以上続かなくなる。
母を亡くし、その仇討ちは果たせず、突然現れたハクトに連れ出されたリノの心は未だ不安定だった。
沈黙が続いたまま半刻が経ち、王都の中を移動していた馬車が止まった。
「きれい…」
ここに来るまで何にも興味を示さなかったリノが好奇心を持って辺りをきょろきょろと見回している子供らしい姿に、ハクトは微笑んだ。
「王都は初めてか、リノ」
「あ…、…はい…」
ハクトが話しかけると返事はするが、リノに笑顔はなかった。
会話もそれ以上続かなくなる。
母を亡くし、その仇討ちは果たせず、突然現れたハクトに連れ出されたリノの心は未だ不安定だった。
沈黙が続いたまま半刻が経ち、王都の中を移動していた馬車が止まった。