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みんな同じ空の下
第7章 少女が「女」を捨てた日 ~其の弐:三年前~
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リノに遅れてひと月程して、ハクトも邸に帰ることが出来た。
出迎えてくれた者たちと挨拶をしてからリノの居場所を訊くと、庭にいるということだったので、ハクトはそちらへ向かった。
治療院にいたたったひと月の間に、ハクトの元には大量の書簡が届けられており、そのほとんどは仕事に関するものであった。邸からの手紙は一通のみであったが、それには邸の管理については家令が全てを負うので治療に専念してほしいこと、ハクトの世話の為に何名か使用人を治療院へ送ったこと、リノは先に邸に戻っていることが書かれていた。