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私達が人間を辞めた日
第12章 枯れないディアスキア
「もう...嫌ぁ...」
無限にも思える時間...
壁に拘束された私の体中からポタポタと落ちる血が床を汚す...
姫歌は私の正面の数メートル離れた場所で右手を持ち上げる。
「蛍ー、じっとしててね?」
姫歌は名前で呼ばれた時の私の動揺を見てから、私を名前で呼ぶようになった。
姫歌が腕を振り下ろすと私目掛けて飛んでくる物は...千枚通しだ...
回転する千枚通しは私の腹部に触れるが...運良く持ち手部分が当たり、床にカランと転がる。
私の体には既に何回も針が刺さっている...針が刺さると持ち手部分の重みで抉られるように落下する為...見た目よりも遥かに傷口は大きくなる...
「うーん...これ難しいですよぉ。別のヤツやりましょ?」
「ああ...面白そうな物はまだあるからな」
姫歌がつまらなそうに告げると、寿は返す...
私はこれからずっと過去の体験に囚われ続け...それをずっと再現され続けるのだろうか...
過去を振り返ると虐待の記憶しか思い出せず、これから増える記憶も...こんな記憶だなんて...
「あれやりましょーよ。熱湯浴びせるヤツ」
姫歌の無邪気な声...
私の人生って...こんな物なの...?
せめて優しい頃の母に...もう一度会いたかった...